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赤い花 白い花
〜 お花摘みの時のぷち話 〜
お二人がお庭で仲良くそれぞれのお花をつんでおいでの時のこと・・・・
「ああ・・・メンフィスにわたしのママの作ったアプリコットケーキ食べさせてあげたいなぁ・・」
「何? そなたの母女神は自ら料理をされるのか?」
「とっても美味しいわよ。ママはお料理上手なの。お菓子作りはパティシエ級だし、お料理ならローストビーフなんて最高よ!本当に天下一品の味なんだから♪」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・あ・・・わ、わたしは・・・・そーいうの全然ダメなんだけど・・・・・・・・・・」
瞠目するメンフィスに、キャロルはふるふると両手を振って恥ずかしそうに笑う。
(お、女の子としては・・・ちょっと減点よね・・・・)
しかしそんなことより、メンフィスにとっては、女神が自ら料理をすること自体が驚きだった。
(女神が・・・・厨房に立つのか・・・・?!)
あまりに意外すぎて想像もつかない・・のだが・・・・
今、メンフィスの頭の中では壁画で見るような女神像が包丁をもって大量の食材をさばきだそうとしていた。
あまりといえば・・あまりな映像・・・・・
非常に複雑な表情をして固まっていたメンフィスに気づいて、キャロルはなんだろうと花を摘んでいた手を止めて小首をかしげた。
(・・・そうか・・・メンフィスの食事はみんな王宮の料理人がつくるものね。王族にとってはお母様の手料理なんてそもそも考えもつかないのかも・・・・。じゃあ・・わたしがお料理下手でも『普通』ってことで・・・も、問題はないわよね。)
メンフィスの沈黙した妙な表情はしばらくそのまま変わることがなかったので、よほど母の手料理が珍しい印象を持ったのだとキャロルは認識し(←それは確かにそうだったのだが・・・)、これが後に『ママの味』という発想にいたるきっかけとなった・・・・・・・のかもしれない・・・・。
おしまい
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