王家の谷へ

MCぷち風景
【12月25日】



クリスマス
クリスマス・・・

クリスマスはやっぱりプレゼント
どうやって貴方と過ごそうか・・・
いろいろ考えて
悩んでずっとぐるぐる思考回路はまわりっぱなし

ようやく決めてできあがったプレゼントも、どうやって渡そうかとまたぐるぐる・・・

きっと・・・
クリスマスなんて彼には理解できないと思うけど・・・

それでも
今日は特別な日
わたしにとってはとても特別な日なの

どうしよう
朝からそわそわしてしまって既にメンフィスからは不審な目で見つめられるし
よけいに心臓がどきどきして挙動不審

昼食時?
夕食後?
これを渡すのはいつがいい?

2人きりになりたいけど、そうなれるのは実際本当に難しい
どこにいても誰かが側に控えているし、かといって暗い場所では渡しにくいし・・・

「どうしよう・・・・・・・」

あっちへうろうろ
こっちへうろうろ・・・
東屋や庭を行ったりきたり

手の中の小さな箱を何度も持ち替えて様子を伺う

もうすぐ午前の協議が終わるはずだけど・・・
まだまだ休憩時間にはならないわよね・・・

はぁ・・・


「なにをしておるのだ、先ほどからうろうろと・・・」

「えっ!!! きゃあぁっっ!!!!」


な、なんで後ろから??
っていうかどうして急にメンフィスが現れるの?!


「え?え? どうして?メンフィス、今、協議中だったわよね?」
「ふんっ・・・・そなたの様子がおかしいのでな。先ほど中断して人払いをさせた。・・・・何用だ?」
「な、な、何用・・・って・・・・」
「わたしに何か内密に話したいことでもあったのであろう?朝からなにやら様子がおかしかったからな。・・・急ぐのならば早く申せ。次の協議まであまり時間もない。」
「そんな・・・ぽんぽん上から物言いされると・・・・べ、べつに・・・緊急でもないし・・そういうことじゃ・・・・」
「・・・・キャロル?」
「や、やっぱり後でいいわ。」
「まて!」
「きゃっ」

二の腕をつかまれて、くるりと反転
目の前にメンフィスの胸

「どうしたのだキャロル」
「!」

そのまま抱きしめられて身動きができなくなる

「キャロル・・・」

ぐっと首筋を引き寄せられてメンフィスの胸に・・肩に自分の頭が包み込まれた。

・・・本当は・・・・ずっとこうしていたいけど・・・
だって今日はクリスマスなんだもの・・・
ゆっくり貴方と過したいのが正直な願い
だけど・・・ファラオには・・・古代エジプトでは関係のないこと。

しかたがないのよね・・・・

「・・・ありがとう。・・・ごめんなさい、お仕事の邪魔させちゃったわね・・・・・」
「キャロル?」
「た、大したことじゃないの。・・・・・・これ、貴方にと思って・・・・。」
「ん?・・・なんだ?」
「メリークリスマス♪ メンフィス」

チャリン・・

「これは・・・・?」

小箱からとりだしてメンフィスの首にかける
出入りの職人に金細工でつくってもらった首飾り
ペンダントトップには「C」のイニシャル
いま彼がつけている豪奢なファラオの胸飾りには跳ね返るほどの小さなものだけど・・・

「これ・・・私の名前のデザインなの。いつも貴方と一緒にいたいから・・・・わたしのかわりに。ほら、前にメンフィスも貴方のお守りをくれたじゃない。それといっしょよ。今度はわたしから。ね。」
「キャロル・・・・」
「貴方にとってはつまらないものかもしれないけど・・・どうしても今日に・・早くあなたに渡したくて・・・きゃっ!!」
「・・・・大事にしよう。」

急にそのままキスされ声を失う・・・

「そなたからの・・・初めての贈り物だからな・・・・・・」

もう一度そのまま口付けの嵐

「!」

嬉しそうなあなたの顔・・・
喜んでる?
喜んでくれてるの?

「メンフィス・・・・・・・///」
「できるだけ・・・国事は早く終わらせよう。・・・・今日はそなたとゆっくり過したくなった。」
「え!本当?」
「そなたの顔を見ていたら離したくなくなったのだ。・・・そなたもそうなのであろう?珍しいでなないか。そのようにあからさまにすがりつくような瞳をされてはたまらぬな。」
「えぇっ!そ、そんなことは・・・!!!」
「ふふふ・・・わたしが恋しいのだと素直に申せ。・・・愛しいやつめ・・・そのぐらいの願い叶えられずにいてなんとする」

メンフィスはチャリン・・と愛妃から首にかけられた首飾りを指に絡め、いとしそうにそのペンダントトップに唇を寄せた。

「メリークリスマス・・・キャロル」
「!」
「確か・・・そう申すのだったな。なんの呪文かは知らぬが。今日の特別な祝いの言葉なのであろう?」
「・・・ど、どうして?!」

しかも・・・どうしてそんなに正確な発音?!
仰天するキャロルに呆れたようにメンフィスは事も無げに答えを告げた

「どうしてもなにも・・・そなたが今朝方わたしにそう申しておったではないか。」
「え・・・?」

「耳元で・・・あのように甘く囁かれては覚えずにはおれぬ。」

にやりと笑うメンフィスにキャロルは瞬時に真っ赤になった

「き…聞いて・・・・あれって寝たふりしてたの?!/////」
「そなたの声があまりに心地よくてな。起きるのが惜しくなった。・・・・・・キャロル、あの声がもう一度聞きたい。・・・いま一度申してみよ。」
「メンフィス・・・・」


ゆっくりと・・・・嬉しげな微笑を添えて
メンフィスの唇にキャロルの淡いサクラ色の唇が重なった


「・・・・Merry Christmas ・・・・・Memphis」


明け方にベッドでつぶやいたのと同じ声で
彼の望む通りの甘いささやきを耳元に告げると、返礼にともう一度・・・息も止まるほどの抱擁と口付けが贈られた。





Fin.


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