chapter 26
~ どこまで見えるの ~
大空に一羽の鳥が旋回していた。
エジプトの真っ青な空に悠然と。
「わあ・・・きもちよさそう・・・・ ん~、きっと空からはいい眺めでしょうね」
バルコニーから空をみあげているキャロルの視線の先をメンフィスも追った。
「鳶かしら?」
「・・・・・鷹だ。」
「え? 分かるの?」
「・・・・・? ・・・何故分からぬのだ?」
「そんなの分からないわよ。あんなに小さいのに」
「羽の形が全然違うではないか。」
「・・・・・・羽・・・・・?」
あの・・・・・メンフィス?
羽の形って・・・・・
正直あれって『点』にしかみえないんですけど・・・・
「向こうに・・もう一羽飛んでいるぞ。つがいかもな。」
「・・・・・・・はぃ?」
指差した方向には青空と薄く漂う白い雲・・・・
(ど、何処に???!!!!)
「あそこだ。」
「・・・・・・・え? ど、どこよ??」
「・・・・同じように旋回しているではないか。」
「~~~~~・・・・え・・・・・・?????」
「・・・・?」
目を凝らしてはいるが、全く追いつけていないキャロルの様子にメンフィスは驚いた。
先ほどキャロルがメンフィスを見て驚いたように、今度は逆に不思議なものを見るかのようにメンフィスがキャロルを見下ろした。
「・・・・見えぬのか?」
「・・・・・・全然見えないわよ」
「まさかそなた・・・目が悪いのか?」
「視力はちゃんと両方裸眼の1.2よ。メンフィスこそ遠視じゃないの??」
「1.2????・・・・遠視とはなんだ??」
はぁ・・・・と、キャロルは小さな溜息。
「まさかメンフィスがマサイ族並みの4.0クラスとは知らなかったわ。」
・・・・あとで知ったが、メンフィスの取り巻きメンバーもみんな『マサイ族』だった。
どうやら古代人の視力はハンパではないらしい・・・・。
Fin.
後日談
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愛の奥宮殿へ