chapter 25
〜 愛しくて愛しくて 〜
「あっ 痛っ」
ぷつっと指先に小さな赤い珠が膨れ上がった。
「キャロル・・・?」
「大丈夫。ちょっと棘がささっただけよ」
「・・・・・」
くちもとにその指がもちあげられペロリと赤い雫がなめとられた。
あたりまえのように事も無げにされてしまっているけれど・・・よくよく考えてみたらありえないような光景。
だって・・・・・あなたファラオなのよ
「・・・・メンフィス・・・もう大丈夫だから。」
ひっぱって止めてもらおうとしたら逆にひどく手首を握り返された
きゅっと強く吸い上げられて少し痛いくらい。
血が必要以上に吸い取られてしびれるような感覚
やっと離してもらえたら今度は入念にというように指先を診ている
「すぐ手当てをいたそう」
「なにを大げさな。これくらい放っておいても大丈夫だったら」
「毒がしこまれているかもしれぬ。軽くみてはならぬ。」
「毒?!」
そんなばかな。。。
だって・・・今摘んだばかりの花よ。
それも私が。。
「さぁ、まいれ」
ぎゅっ
「きゃっ!」
「大事なそなたに傷ひとつつけたくはない。甘く見てはならぬ。」
っていうか・・・貴方が甘すぎるわ
・・・・・・優しいのは嬉しいけど
こんなにみんなに囲まれているところでそんな風にされると困っちゃう。。。
どう考えても・・・そんな理由じゃなくて・・・単純に抱き寄せていたいだけなんでしょう?
・・・できれば・・あの・・・・誰も見ていないところでそういうことはしてほしいんだけど・・・
でも言った所でなに一つ変えようとなんてしないわよね。
このワンマン暴君の王様は。。
Fin.
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愛の奥宮殿へ