愛の奥宮殿へ  

chapter 18

〜 王妃の美容風景 〜

あるお付侍女の手記



お目覚め後、まずはなにをさておき湯殿で朝のご入浴です。
(何故かとはお聞きにならなくてもお分かりでしょう? ぽっ)

まずはぬるめのお湯でゆっくりと全身を温め、軽く汗を流されます。
次に御髪を洗髪。
湯船につかっておられるまま、湯桶をご用意し、侍女のわたくしたちが御髪を洗わせていただいております。
姫様の黄金の髪はとても細くて柔らかいので、傷めないように手早く慎重に。
洗髪用の湯は王妃様用の特製品で、髪に優しいハーブの湯。
また洗いあがりの仕上げにはお肌への保湿性も含む数種類の香油がありまして、すずらんやバラ、百合、ジャスミンなどなど、どれもとても貴重な精油ですの。
その日の姫様のご気分やファラオのお好みで選ばれますが、どちらかというと控えめな香りのものを好まれます。
今日は少し爽やかめなオレンジの香りを選ばれました。
姫様のあたり一面がふんわりやわらかな香りにつつまれます。
そののち髪を乾かしながら結い上げる準備をいたしますが、洗いたてのままがお好きでいらっしゃるので、たいてい毛先のお手入れだけで終わることが多いですね。
儀式や賓客のおいでの場合ぐらいしか凝った髪型に結い上げることがございません。
残念ですわ。髪飾り・・こんなにございますのに。。(ふぅ・・・)
どれもファラオのお見立てで揃えられた豪華な品々です。

・・・と・・ふいにファラオがこちらに
慌しく侍女一同が平伏にて拝礼する中、身支度中の王妃様に向かい歩みをすすめられました。
朝の湯上り直後の王妃様はまだほんのり上気して薔薇色の肌艶で、洗いたての御髪は朝日に照らされ太陽の如く輝いております。

「まあ、どうしたの?メンフィス?」

無言で後方に軽く手をふられるのが合図
最後のお仕上げ(?)はファラオのお手にてなされるので、私どもは退出です。
その後は朝餉のお席につかれることになるのですが・・・

今朝のお膳の準備は少し遅めの方がよいかもしれません。


・・・・・こうした時は大抵「ふりだし(湯殿)に戻る」ことが多いので(赤面///)







Fin.





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