chapter 14
〜 ある奥宮殿の日常 〜
さらさらの黒髪
日に晒されてるはずなのに枝毛なんて全然見当たらない
信じられないほど艶艶なストレート
本当にとっても綺麗・・・・・
『♪』
妃が上機嫌で髪をもてあそんでいる。
時折ふれる彼女の指先がなんとも甘く背中に伝わってくる。
髪に櫛を通し、香油をふり、その後手持ち無沙汰になるとこうしてなにやら背後で髪を編んだりほどいたりを繰り返す。
良く分からぬが・・・それが楽しいらしい。
うきうきとしたキャロルの様子は背後にあっても容易に分かる。
「・・・・・♪♪」
さらさら・・・・・
編んでいた手が離れ、髪が背に散らばった
そしてまた手櫛をするようにそなたの細い指が背をなで髪を取りあげる。
(ふっ)
何を話すでもないが、こうしたキャロルが愛しくて堪らぬ。
黙って素直に側にいる
嬉しそうにわが身に触れてくる・・
どれほどそれが愛しいか
そっと後ろを垣間見ると、ぴくっとキャロルが手を止めた。
「・・えっと・・・・・・・・」
少しの沈黙
キャロルはあたふたと両手を離し、『何もしていなかったわよ』とばかりにその手を後ろにまわして固まった。
・・愛やつめ
誠に・・そなたを愛さずにはおれぬ。
金の髪に己の指を刺し通す。
甘い唇にふれながら・・・・メンフィスもまた彼女の豊かに煌く髪を飽くことなく梳っていた。
Fin.

愛の奥宮殿へ